日立の矢野和男氏が書いた「データの見えざる手」を読みました。物凄い名著でした。
この本は話題のAIやビッグデータは社会をどう変えていくのか?という内容が書かれた本です。「社会ってこうなるんじゃない?」ということが最終的に述べられますが、その前に私たちが当たり前だと思っている事を超論理的に証明されていて、すごくおもしろかったのでちょっと紹介したいと思います。
活発な職場は生産性が高い
誰も疑うことはないこの決まり文句についです。日本中の経営者や上司の方が活発な職場を目指していますが、具体的にどうすればいいのか?ってあまりわかっていませんが、この本で書かれていました。
この本では「腕の動きを計るセンサ」を用いて従業員の腕の動き具合を測りました。どれだけ激しく動いているのか?どれくらいの時間動いているのか?というデータを測りながら、二つの調査を行いました。
・従業員が「自分は幸せだ」と感じているか
・幸せを感じている人の割合と、その企業の成果
この実験によると
激しく動く人=自分を幸せだと思っている人
ということがわかったそうです。「激しく動く」というのは普通より激しく腕が動いている時間の割合のことです。重要なことは「なんで?」ではなくてデータに明らかな関係があったという事実です。本にグラフが載ってますので興味がある人は見てみてください。
さらに
幸せを感じている人が多い職場=売り上げなどの成果が高い
という関係があることもわかりました。なので活発な職場を目指すためには、
・会話中に身振りを入れる
・メールで済ませず直接言いに行く
などの業務におけるちょっとした運動の習慣が大事なことがわかったんです。これによって何がわかったか?というと
活発な運動⇒社員の幸福UP⇒生産性UP
という今までフワッとしていた
活発な職場⇒生産性UP
の「関係性」が論理的にわかりました。
AIはわからないものをわかるようにするもの
ここで紹介したものは一部で、その他にも様々な感覚的な常識が「データの見えざる手」で論理的に証明されています。
さて、これがAIとビッグデータとなんの関係があるんだ?という話になりますが、まさにこの「今までよくわかんなかったもの」がAIとビッグデータによって、論理的に証明されていく、と著者は述べています。
どういうこと?という話をする前に「データの見えざる手」でのAIの考え方を引用させていただきます。
AIの本質は「不確実性に向き合う人間の方法論」である。
引用:データの見えざる手
一般的にAIはデータと答えを入力して、その関係性を求めるものです。コンピューターの計算速度が上がって、AIが大量のデータを扱えるようになったことで、これから色んな関係性が明らかになっていきます。上で紹介した「活発な職場は生産性が高い」もデータによって証明されました。
人間が見て明らかな関係がない場合(y=xとか)、これまでは「よくわからない」いわゆる哲学的なものとして扱われてきたんですね。それを人工知能は変えようとしています。y=xでは明らかにできなかった関係性をAIは見つけることができます。なぜかというと、大量のデータが計測できて、かつコンピューターで計算できるからです。
例えば「仕事と幸せの法則」とか明らかになったら社会ってすごく変わると思いませんか。今まで幸せを測る尺度の代表的なものは「お金」で、仕事は「労働」として当たり前のように考えられてきたんですけど、もしAIとビッグデータによって「仕事と幸せの法則」が明らかになったら、いわゆる給料が高くてまったりしている、誰もがうらやむ待遇ってもはやどうでもいいものになります。
これから社会がどういう風になっていくのかは勿論わかりませんが、「データの見えざる手」は物凄くうなずける内容が書かれた超名著でした。読んでみてはどうでしょうか。
【参考記事】
・人工知能が「人間に大負け」している2つの要素
・人工知能が「人間に大負け」している2つの要素
・「AI 原理 わかりやすく」でわからない人のためにAIの原理を解説
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